災害対策 

- 東日本大震災による被災と復旧対策 -

2011年3月11日に発生した東日本大震災からの復興記録をまとめましたのでご覧下さい。


 

1.大地震の発生


 2011 年(平成 23 年)3 11日(金)14 46 分、宮城県牡鹿半島沖 130 km の海底を震源とする日本周辺での観測史上最大の大地震が発生しました。地震の規模はマグニチュード 9.0、最大震度7を記録。地震の揺れによる被害に加えて、地震発生からわずか30 分後に大津波が押し寄せ始め、特に東北から関東に至る太平洋沿岸部に未曾有の人的被害と建築物の被害をもたらしました。

2.当社の被害状況


 当社は幸いにも家族を含めて人的被害は無かったものの、最大の事業拠点である鹿島支店が被災し、本社機能も一時的に停止に追い込まれる深刻な事態に直面することになりました。

□鹿島支店の状況

 本船荷役中に地震が発生、発生後30分ほどで波高5mの津波が押し寄せました。事務所等のあるグラウンドレベルぎりぎりまで押し寄せましたが事務所、サイロ、倉庫への浸水は免れ、一部荷崩れはあったものの保管貨物は無事で陸側の被害は軽微でありました。一方、桟橋、内航用バース、荷役機械等海側の施設は大きな被害を受けました。

3.会社を挙げた協力対応、被災した全農グループ会社への支援


 被災した同じ全農グループの仲間からの支援要請に応えるため以下の対応を行いました。

□新潟支店、東海支店、志布志支店で応援製造に向けた、出庫時間の延長。

□応援製造されたB飼料を、東海支店、志布志支店で内航船へ積込。

□被災した全農グループ会社への救援物資の提供。

□被災した全農グループ会社への発電機の貸与。

4.完全復旧への取組み


 当社の経営にとって如何に早く通常荷役体制に戻せるかが最大のポイントであり、当初は復旧に1年以上かかると見られておりましたが、本社・支店が腐心し進捗管理の徹底に務めた結果、7カ月後の2011年10月23日に修復を終え、すべての復旧作業を完了しました。

5.新たなBCP(事業継続計画)対策


□通信手段の確保

 通信規制のかかる固定・携帯電話に頼らない確実な通信手段として、各拠点に衛星電話を配備しました。

□津波対策の実施

①荷役機械の対応策

 オペレーターの人命確保のため、電源喪失時の荷役機械作動、船倉からの脱出を可能にする退避システムを導入。

②電源設備の防護対策と電源喪失時の電力確保

 屋外電源設備は高所に嵩上げ移設、電気室は出入口の防水扉への取替え、防潮板の設置、壁面の防水補修、配管・ダクト等貫通部の海水浸入防止対策等を実施し、電力の確保については非常用発電機を設置しました。

③制御室設備使用不能時の代替操作

 各支店とも事務所 1 階にある制御室が機能しなければ搬出入作業は実質的に不可能であったため、高所にバックアップ設備を整え、非常時の対応ができるようにしました。

④避難訓練の実施

 津波を念頭に置いた避難訓練を導入しました。

⑤地域防災無線の導入

6.震災を振り返って


 日本の畜産物生産は、輸入穀物の港湾拠点での円滑な荷役・製造・出荷を前提としており、国内最大級の取扱いを担う当社は安定供給に大きな責任を負っています。東日本大震災の経験を糧として津波対策を中心としたBCP対策を策定・実施しましたが、この経験を震災未経験世代にも長く伝え、将来の大災害への備えを今後とも絶えず強化します。